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翻訳 Translations – Mamoru Fujisaki

翻訳 Translations

(史料解題・翻訳、藤崎衛監修)「第三ラテラノ公会議(1179年)決議文翻訳」『クリオ』第33号(2019年5月), 39-56頁。

一連の中世公会議決議文の翻訳の一編。12世紀、教会改革の時代を迎えて教皇主導の公会議が開催されるようになったが、ラテラノでの第3回目の公会議の決議文を今回は取り上げた。底本はA. Larson – K. Pennington, “Concilium Lateranense III 1179”, in The General Councils of Latin Christendom. From Constantinople IV to Pavia-Siena (869-1424), ed. A. García y García et al. (Conciliorum oecomenicorum generaliumque decreta, 2/1), Turnhout 2013, pp. 127-147.

(史料解題・翻訳、藤崎衛監修)「第一・第二ラテラノ公会議(1123、1139年)決議文翻訳」『クリオ』第32号(2018年5月), 61-80頁。

第4ラテラノ、第1リヨン、第2リヨンに続く中世公会議決議文の翻訳。今回は12世紀前半にさかのぼり、中世中期以降において初めての第1ラテラノとそれに続く第2ラテラノを取り上げた。中世の教皇権がいよいよ発展するうえで無視できない史料といえる。底本はG. Gresser, “Concilium Lateranense I 1123,” in The General Councils of Latin Christendom. From Constantinople IV to Pavia-Siena (869-1424), ed. A. García y García et al. (Conciliorum oecomenicorum generaliumque decreta, 2/1), Turnhout 2013, pp. 89-94 及び T. Izbicki, “Concilium Lateranense II 1139,” ibid., pp. 95-113.

(史料解題・翻訳、藤崎衛監修)「第二リヨン公会議(1274年)決議文翻訳」『クリオ』第31号(2017年5月), 123-147頁。

1274年、教皇グレゴリウス10世によってリヨンで開催された公会議の決議文の翻訳。十字軍、コンクラーヴェ、東西教会の合同問題など、この時期の教会・キリスト教世界に関わる重要な課題が盛り込まれている。従来の公会議における決定事項と同様に、教会・聖職者の統制に関わる規範事項も数多く取り上げられている。背景や意義などについて簡潔な解題を付した。原典はB. Roberg, “Concilium Lugdunense II 1274,” in The General Councils of Latin Christendom. From Constantinople IV to Pavia-Siena (869-1424), ed. A. García y García et al. (Conciliorum oecomenicorum generaliumque decreta, 2/1), Turnhout 2013, pp. 289-358. 参照、『クリオ』のページ

(史料解題・翻訳、藤崎衛監修)「第一リヨン公会議(1245年)決議文翻訳」『クリオ』第30号(2016年5月), 100-127頁。

1245年6月から7月にかけて教皇インノケンティウス4世がリヨンで開催した公会議の決議文の翻訳。教会・聖職者の統制に関わる規範事項に加え、皇帝フリードリヒ2世の廃位文書やギリシア教会、十字軍、モンゴル勢力(タルタル人)に関わる教令を含む。前置きとして簡潔な解題を付した。原典はA. A. Larson/K. N. Pennington, “Concilium lugdunense I 1245,” in The General Councils of Latin Christendom. From Constantinople IV to Pavia-Siena (869-1424), ed. A. García y García et al. (Conciliorum oecomenicorum generaliumque decreta, 2/1), Turnhout 2013, pp. 205-245. 参照、『クリオ』のページ

マックス・ケルナー、クラウス・ヘルバース『女教皇ヨハンナ 伝説の伝記<バイオグラフィー>』三元社、2015年9月8日刊、本文182p+史料編等48p+図版[8]p

原著はMax Kerner, Klaus Herbers, Die Päpstin Johanna. Biographie einer Legende, Böhlau Verlag: Köln – Wien – Weimar 2010. 中世に流布した女教皇ヨハンナの伝説。あり得ないはずの人物をめぐる言説は、しかし、近世、近代と受け継がれ、現代においても人々の関心を惹き、小説や映画や舞台で再生産され続けている。伝説誕生の背景、伝説の内容、継承、変容の検証は、必然的に伝説を語り継ぐ人々や社会の考察へと向かう。この翻訳では日本語読者の理解を助けるために、13・14世紀の原典史料をラテン語等から日本語訳に新たに訳出して掲載する。エリック・シッケタンツとの共訳(附録の史料翻訳は森本光と共訳)。 Amazon.co.jpのページ

山辺規子氏『図書新聞』書評(PDF)

 

(史料解題・翻訳、藤崎衛監修)「第四ラテラノ公会議(1215年)決議文翻訳」『クリオ』第29号(2015年5月), 87-130頁。

1215年に教皇インノケンティウス3世が主催し、今年800周年を迎える第四ラテラノ公会議の翻訳(藤崎他9名による共訳)。前置きとして簡潔な解題を付した。原典はAntonio García y García, Constitutiones Concilii quarti Lateranensis una cum Commentariis glossatorum, Città del Vaticano 1981 (Monumenta Iuris Canonici, ser. A, 2), pp. 41-118. 参照、『クリオ』のページ

(原典資料紹介)「1462年ローマにおける救世主イコンの行列次第」『西洋美術研究』No. 19(2014年12月), 179-183頁(特集「スペクタクル」の一部)。

1462年に作成された、聖母マリア被昇天の祝日(8月15日)に行われる救世主のイコン(imago)の行列次第の翻訳。原資料は次の通り:Liber sive Catastum Hospitalis et Societatis Recommendatorum Sacre Ymaginis Salvatoris ad Sancta Sanctorum [1462], ASR, Osp. SS. Salvatore ad Sancta Sanctorum, reg. 1009 (preziosi), (Digitalisat, ASR, Imago), fol. 7r-fol. 8v (ただしASR = Archivio di Stato di Roma). 訳出は次の校訂版に基づく:“Transkription der Prozessionsbeschreibung von 1462”, in Philine HELAS/Gerhard WOLF, Die Nacht der Bilder: Eine Beschreibung der Prozession zu Maria Himmelfahrt in Rom aus dem Jahr 1462, Freiburg im Breisgau/Berlin/Wien : Rombach Verlag, 2011 (Rombach Wissenschaften. Reihe Quellen zur Kunst, 33), pp. 106-112. ローマでは9世紀から16世紀にかけて、毎年8月14日から15日にかけての夜に、一大宗教行列が執り行われた。ラテラーノ大聖堂の聖ラウレンティウス(サン・ロレンツォ)礼拝堂から救世主イコンが救世主信心会を担い手とする輿に載せられ、フォールム・ロ マーヌムを通って運ばれ、サンタ・マリア・マッジョーレ教会の聖母子イコンと対面した。訳出した1462年の式次第書からは、この聖母被昇天を再現したとされる行列の詳細が明らかとなる。同雑誌中のフィリーネ・ヘラス、ゲアハルト・ヴォルフ (秋山聰監訳・太田泉フロランス訳)「1462年ローマにおける聖母被昇天の祝祭行列 2つのイコンが出会う夜」(37-53頁、秋山氏による解題付き)も参照。

マリア・ジュゼッピーナ・ムッザレッリ「ボローニャのゲットー」『クリオ』第27号(2013年5月), 65-75頁。

原文はMaria Giuseppina Muzzarelli, “Il gettho di Bologna”。ボローニャ大学教授ムッザレッリ氏が2012年12月2日に京都大学で行った講演の原稿のイタリア語版からの翻訳。16世紀後半の2通の教皇勅書に注目しつつ、中近世全般において教皇領第二の都市ボローニャのユダヤ人がどのような活動をしていたのか、また彼らがキリスト教社会から隔離されるにいたるまでの過程はどうであったのかを詳細に明らかにした。中世のユダヤ人に関する研究に有益な論考。同75-77頁には藤内哲也氏による丁寧な解題が付されている。

ジェフリー・バラクロウ『中世教皇史』八坂書房、2012年)

Geoffrey Barraclough, The Medieval Papacy, London 1968 の翻訳。 (帯の文章より)歴史の中の教皇―その実像に迫る。教皇権を「本質的には中世ヨーロッパで生まれた」ものと喝破し、西欧中世の実社会の動向の中に、その興隆と衰退の実態を見定め、物語性豊かに描き出した名著。歴史の靄に包まれた「ヴァティカン以前」の教皇と教皇庁の本質を鮮やかに炙りだす。図版多数。 Amazon.co.jpのページ

読売新聞書評(2012年5月6日付)より

権力の源流を探る

評者:岡田温司(西洋美術史家・京都大教授)

 良くも悪しくも、西洋ひいては世界の歴史を一段とおもしろくも複雑にしてきたのは、教会権力の存在、とりわけその頂点に立つ教皇の存在である。 現代でも、復活祭を祝う日、教皇の説教を聞こうとヴァチカンの巨大な広場を世界中の信者たちが埋め尽くし、南米の人たちはその訪問を熱狂的に出迎える。それらの映像は、しばしばわれわれの極東にも届いてくるが、その光景は、キリストの代理人にして殉教者ペトロの後継者とされる教皇の存在の大きさを、改めて印象付けないではいない。 いったい、いつ頃からいかにして教皇はその地位を確立し、権力と影響力を持つにいたったのか。本書は、主に8世紀のカール大帝の時代から15世紀の宗教改革前夜までを丹念に追いながら、その経緯を辿(たど)ったものである。 話のトピックとなるのは、もちろん歴代の王や皇帝や諸公たち世俗権力とのあいだに繰り広げられてきたすさまじいまでの対立と抗争、妥協と和解の数々である。聖職売買、叙任権闘争、教会大分裂、異端審問など、読者のみなさんも一度は耳にしたことのある事象のからくりが、具体的に明かされていく。 このように教皇権は、宗教的な事柄のみならず、政治や司法や経済など、およそあらゆる領域にまたがってきた。著者はそれを、ずばり「教皇君主制」と呼ぶ。人間のやることゆえ、本来聖なるものであるはずの世界は、おのずと俗なるものにまみれ、単にきれいごとでは済まされないさまざまな出来事が歴史を彩ることになるが、だからこそ、いっそう興味をそそられる。 原著の出版から半世紀近くが経過し、訳者もいみじくも指摘するように、カトリックの「外部」や「他者」との関係という今日的なテーマへの目配りについては、ややもの足らない感は否めないが、現在もなお多くの局面で影響を与え続けている教皇権の源流を知るには格好の本である。藤崎衛訳。 ◇Geoffrey Barraclough=1908~84年。英国の歴史家。『現代史序説』など著書多数。

(正誤表:教皇史補訂表

ミケーレ・バッチ「中世後期イタリアにおける聖なる語り、聖なるモノと幻視体験」『死生学研究』第16号, (2011年10月), 201-215頁。

国際研究集会「イメージとヴィジョン」の報告書における中世美術史研究者の発表原稿の翻訳。原題は、Michele Bacci, “Sacred Narratives, Holy Objects and the Visionary Experience in Late Medieval Italy”. 現代におけるキリストの奇跡的な写真、中世の聖女ボナやゲラルデスカの幻視譚を取り上げ、幻視体験とその幻視の視覚的表現の関連性に着目し、両者が相互に影響し合っていたことを実証している。

セバスティアン・タンク=ストルペル「記憶の政治への転換―アルゼンチン・イスラエル共済組合に対するテロ―」 『非業の死の記憶―大量の死者をめぐる表象のポリティックス―』池澤優、アンヌ・ブッシィ編(秋山書店、2010年)、255~274頁。

2008年の国際研究集会の報告書中の一論文。1994年にブエノスアイレスで起きたユダヤ人に対するテロを取り上げ、犠牲者の家族やユダヤ共同体などの追悼者集団、また追悼儀礼のあり方などを政治に絡めて分析している。人類学、宗教学、社会学、民族問題などのアクチュアルな議論に示唆を与えるだろう。原著:Sebastien Tank-Storper, “L’attentat contre la Asociacion Mutual Israelita Argentina. La conversion politique de la memoire”. (秋山書店による案内